【2016年8月】地域活性化×マーケティングの視点で知っておくべき事例3つ

こんにちは、もう9月です。8月前半までは猛暑・寝苦しい夜、と非常に夏らしい時期が続いていたように思いますが、ここ一週間ほどは朝夕涼しさも感じるように思います。残暑が厳しいことも予想されていますが、なんとか体調を崩すことなく夏場を乗り切りたいですね。

今月も「ふりかえり事例紹介地域活性化ニュース」と題しまして、8月中に取り上げてきました地域活性化ニュース(地域活性化ニュースでは平日毎日地域活性化に関する事例を取り上げて配信しています、過去の事例紹介はこちら)を振り返っていきたいと思います。地域活性化とマーケティング・ブランディングの観点から興味深い事例・学ぶべき事例について「3つだけ」に厳選して紹介いたします。

     

  1. ポケモンGOで地域活性化なるか。ご当地ポケモンの開発が検討される 滋賀
  2. ポケモンGOで地域活性化なるか。ご当地ポケモンの開発が検討される 滋賀

    リリース当時の爆発的な勢いはすでに無くなった感のあるポケモンGOです。悪影響に関する様々な議論が行われましたが、地域活性化(顧客にとっての地域の価値を長期的に向上させることによって、地域へのお金の流入を増加させること、およびそのために行われる施策)を考える上では、「どう禁止するか」よりも、「どううまく付き合っていくか」ということを考えることが望ましいように思います。

    地域活性化とは 【地域活性化用語集】

    その一方で「地域の収益増」という観点から見れば、必ずしも大きな利益を生むわけではないということを、このブログでは繰り返して論じてきました。多くの人が訪れたとしても、彼らが使用するお金が少ない、あるいは使用したお金のうち、地域で作られた価値によるものの割合が少ない、ということであれば、意味がないからです。

    アニメやゲームを利用した地域活性化は、現在盛んに議論されている大きなトピックです。「地域の収入に結びついていない」といった批判を受けて、今日のアニメ・ゲーム地域活性化は、その批判を乗り越えることができるような努力を行ってきているのもまた事実ですが、「何もなくてもできて、しかも効果が高い」というわけではないことには留意する必要があると思います。

    アニメによる地域活性化とは 【地域活性化用語集】

    結局のところ、地域活性化とは「地域の資源」を「誰に対して」、「何を感じてもらうために」、「どのように伝えるか」ということだけをただひたすら考える、ということでしかない、と思っています。

  3. 京都市営地下鉄が34年ぶり黒字、V字回復へ。その秘訣とは
  4. 京都市営地下鉄が34年ぶり黒字、V字回復へ。その秘訣とは

    「市営地下鉄」が黒字化、と言われると漠然と「乗客が増えたのかなー」と考えてしまいがちだと思うのですが、分解してしっかり考えてみることが大事です、ということをこのニュースでは議論しています。

    掛け算で考える


    (掛け算で分解して考えてみる、という考え方はだいたい何にでも応用が利きます。)

    地域活性化関連のニュースを見たときに、「企業◯◯が好調である」という部分にだけ注目するのではなく、「なぜ好調なのか」、「どの部分が好調なのか」ということを分解して考えていくことは極めて重要です。そうすると「好調」だと言われているけど、実は需要の先食いだっただけだ(例えば、廉売などが事例として挙げられるでしょう)といったことも理解することができるかと思います。

    自主事業を行うことを考える上でも同様で、「今、利益が出ている」ということを考えるだけではなく、「客数が増えたのか、それはなぜか」、「客単価が増えたのか、それはなぜか」といったことをしっかりと考えていく必要があると思います。

    そもそも、地域活性化の成功事例とは? 【地域活性化用語集】

     

  5. 「内向き」のブランディングが鍵となる 有田市の海岸部活性化
  6. 「内向き」のブランディングが鍵となる 有田市の海岸部活性化 

    「ギリシャのエーゲ海のようなイメージ」をつくる、ということを考えると、企業のブランディングと地域のブランディングの違い、そして地域のブランディングの難しさ、ということが鮮明にわかるように思います。

    地域のブランディング 【地域活性化用語集】

    ある企業が出す商品を「エーゲ海イメージ」にすることを目指すのは、地域のブランディングほど難しくありません。社内のその製品とブランドに関わる人にそのブランドイメージを共有してもらい、そのブランドイメージを目指した施策を担当者で一丸となって行うということになります。

    一方、地域の場合はステークホルダーの多さや違う考え方をもった人の多さがネックとなります。地域の範囲が広がるとそれがより顕著になり、「私は新しい人は来てほしくないからここをPRしないでほしい」といった意見から、「エスニックな雰囲気にしてほしい」、「米を生産しているのでエーゲ海イメージはいやだ」、「特に興味がない」など、実に様々な意見が出るでしょう。それをどのように乗り越えていくか、ということは非常に難しいことです。

    地域のブランディングにおいては、よりインターナルブランディングの観点が重要であると言えるでしょう。どのようなイメージにするのか、ということをすり合わせながらも八方美人な抽象的なものにしてしまわない、ということが重要であると思います。


8月後半に「地域活性化用語集」を公開しました。地域活性化に関するキーワードについて、明確な定義と詳細な解説で紹介しています。「地域活性化」・「地域ブランディング」といった基本的な言葉についても解説していますので、是非ともご覧ください。

9月もまた、地域活性化を考える上で役に立つ情報の発信をしてまいりたいと思います。残暑厳しい時期ですがどうぞご自愛ください。

本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜