京都市営地下鉄が34年ぶり黒字、V字回復へ。その秘訣とは

開業した1981年の翌年以来33年間にわたって赤字続きだった京都市営地下鉄事業について、2015年度の経常損益が黒字になったと発表しました。利用客の増加などが要因で、黒字額は8億4800万円となり、前年度と比べ17億1千万円改善しました。

京都市営地下鉄、34年ぶり経常黒字 沿線に集客施設、利用増(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20160803000127

これだけ外国人観光客など集客に成功している京都の市営地下鉄でさえ、赤字であるということに衝撃を受けました。となれば他の地方の交通機関はさらに厳しい経営状況であることが考えられます。

確かに京都で観光や生活をするにあたって、阪急電車や京阪電車、また市営バスや阪急バスなどが競合として考えられますが、あまり京都市営地下鉄は選択肢にあがらないというイメージがイチ利用者としてあります。

この競合他社と単にエリアによる住み分けをするのではなく、競争相手であるという意識を持って、限られたパイの中でいかに顧客を奪っていくのかという意識が欠かせないと言えるでしょう。民間企業では当然であるのこの考え方が交通機関ではまだまだ意識されていないように感じます。

ここで34年ぶりに経常黒字になったということで、京都市営地下鉄における売上を掛け算で考えてみることにします。
売上 = 全購買者数 × 平均単価と表すことができます。

掛け算で考える

JR東の収益構造から参考に、京都市営地下鉄の収益構造を考えると、売上=運送業+駅スペース活用+ショッピング・オフィス+その他 となっているでしょう。運送業や駅スペース活用など、それぞれにおいて、全購買者数×平均単価を考えることができます。

京都市営地下鉄は駅ナカビジネスの積極展開を行うことにより、テナント数の契約数をupさせ駅スペース活用の増収を図り、また駅ナカ店舗の利用者数が増えたことにより乗客数が前年度比1万3千人増とupさせたことで運送業の増収を図り、V字回復することに成功しました。

このように売上を伸ばしたいと考える際には、この掛け算を利用し細かく要素分解していく中で、どの部分の数字を上げたいのかをまずは考え、その部分の数字を上げるためにはどういう戦略を立てていけばよいのかを考えると良いでしょう。

「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。