【2016年2月】地域活性化×マーケティングの視点で知っておくべき事例3つ

2月中に取り上げてきました地域活性化ニュース(地域活性化ニュースでは平日毎日地域活性化に関する事例を取り上げて配信しています、過去の事例紹介はこちら)記事を振り返っていく、「ふりかえり事例紹介地域活性化ニュース」の時間です。今回も、地域活性化とマーケティング・ブランディングの観点から興味深い事例・学ぶべき事例を「3つだけ」に厳選して紹介いたします。

  1. 札幌狸小路商店街、1日に約500人もの観光客を呼ぶことに成功!その訳とは?
  2. https://tsu-suke.jp/news/4194

    前回この記事で取り上げた際には、来客数が増えた理由を「近くに観光客がいたから」ということで説明しました。成功事例としてしばしば取り上げられている商店街でも、その顧客にとっての価値が「観光地から近いから」となってしまっていることが散見されます。

    商店街を考える時に有用な考え方として以前「掛け算で考える」という考え方を紹介しました。かなり細かく「掛け算で分解」して、商店街の売り上げを見ていくとわかってくる面白いことも多々あります。

    例えば、「掛け算で考える」をもとに、
    商店街全体の売り上げを

    = 1店舗平均来客数 × 店舗数 × 購買率 × 平均単価

    と分解してみましょう。本事例の場合、ここからさらに進んで、1店舗平均来客数は、「複数店に訪れる人(地元民)」と「一度しか店に訪れない人(観光客)」というようにも分割することにも意味があると思います。

    本商店街の事例では、観光客相手に強みを持っているのだから、観光客にとっての購買率や単価の向上を行う努力を欠かすべきではないでしょう。また、観光客が来なくなった時のために、地元民の来客数を増やしていく必要があるかもしれません。

    いずれにせよ、自分の商店街のどの数値が強みなのか、どの数値が弱みなのかを適切に把握した上で、方針を立てていくことは極めて重要です。商店街の危機が叫ばれていますが、商店街も顧客にとっての価値を定義して示していく必要があります。
     

  3. マイナーな観光施設に目が向けられる風潮 近年の外国人観光客
  4. https://tsu-suke.jp/news/4180

    観光による地域活性化をひとことで表現すると「あなたの地域は一定の顧客集団とって、行きたい場所ランキング1位になっていますか?」ということができるでしょう。

    それを達成するためには、「突き抜けた魅力」が最も重要です。外国人観光客か日本人かを問わず、今日の観光は、バスツアーなどの多くの人で訪れ客単価は低い旅行から、少人数で訪れ、客単価が高い旅行にシフトしているように感じます。小規模な集団でも、顧客単価とその域内調達率が高ければそれで良いのです。

    ある集団にとって「一番行きたい」ところでなくてはダメなんです、人はある旅行をするときに、1番行きたいところにしか行きません。2番でもランク外でも、そのときに選ばれない、という事実は変わりません。観光においては、「1番になる」ということがより議論される必要があると思います。

    このことについてはこちらの記事が詳しく説明していますので、こちらの記事も併せてご覧ください。「欲張らない
     

  5. 移住専門のフリーマガジンが創刊 移住促進につながるか
  6. https://tsu-suke.jp/news/4116

    通助でもしばしば、「移住と地域活性化」というテーマについて取り上げてマーケティングの視点からそれを議論しています。その中でも、「移住」というキーワードが、すごいバズワードになったなー、と実感しています。

    移住者を増やす、ということを今後の自治体は考えていかなくてはならないわけですが、地域のPRの方法にはかなり無理があるものが使われているように思います。

    例えば、値引きやプレゼントによる移住促進政策。商品やお金が動機の人びとを誘致する結果に終わるだけではなく、その後地域の価値まで逓減させてしまう、とんでもなく危険な手法です。
    (これについて詳しくはこちらの記事をご参照ください。)
    旅行代金半額補助:止めるべきだねというお話

    もうひとつ挙げられるのが、バズることを期待するあまり、地域の魅力がそれほど伝わらなくなっている可能性のあるPR手法でしょう。繰り返しになってしまいますが、根底にある最も重要なことは、「あなたの地域は、一定の移住希望者にとって、移住したい場所ランキング1位になっていますか?」ということです。そのための独特の価値を探すことに注力することの方が、バズることよりも重要だと考えています。
    (これについて詳しくはこちらの記事をご参照ください。)
    バズ狙いの前にやるべきこと〜自治体の移住・観光PR動画で意識したいこと3点〜

地域活性化をめぐる取り組みは、「地方創生」や「外国人観光客」、「移住」といったトレンドワードの登場によって大きな変化の中にあるように思います。しかし、それらを超えて本質的に議論すべきは「だれに・なにを・どのように伝えるか」というマーケティングの根幹です。3月も通助運営陣は、こういった視点からの質の高い地域活性化ニュースの更新に尽力していきます。

本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜