【2016年4月】地域活性化×マーケティングの視点で知っておくべき事例3つ

4月になり、桜の新学期を迎えました、通勤電車もしんどい今日この頃ではありますが、もうそろそろ混雑も緩和されてくる季節かと思います。さてさて、本記事は「ふりかえり事例紹介地域活性化ニュース」と題しまして、4月中に取り上げてきました地域活性化ニュース(地域活性化ニュースでは平日毎日地域活性化に関する事例を取り上げて配信しています、過去の事例紹介はこちら)を振り返っていきたいと思います。地域活性化とマーケティング・ブランディングの観点から興味深い事例・学ぶべき事例を「3つだけ」に厳選して紹介いたします。

     

  1. 自治体アンテナショップをどのように活用するのか? 企業によるPR支援の動き
  2. https://tsu-suke.jp/news/4440

    「首都圏の場所代」というコストを払った上で、アンテナショップは何をもたらすことができるのか、ということは非常に難しい問題であるように思います。物販による利益、ということは一目的にはなりますが、それだけで土地代を回収していくことは難しいでしょうし、そのことを最大の目標として達成に向けた行動を行っていくことは間違っているように思います。

    アンテナショップの別な目的として重要なのは、アンテナショップをきっかけにして地域に訪れる人を増やすこと、あるいはアンテナショップでのリサーチをもとに、地域そのものや、産品を販売する際の新しい価値の伝達手法を考えること、というような部分にあります。

    これは「ご当地グルメは目的か手段か」という記事で述べてきた、「地域に人を訪れさせるための導線としての、ご当地グルメ」という考え方と一緒です。つまり、「地域に人を訪れさせるための導線としての、アンテナショップ」ということです。

    地域の名産物を東京で販売するといったことを目的とするのではなく、地域に訪れ、消費してもらうことを目的とすることが、アンテナショップの設置を考える上で重要ではないかと思います。よって、アンテナショップの目的のひとつは、観光客増といったところになるのではないかと思います。

  3. 移住コンシェルジュ誕生 ▶︎愛媛PR
  4. https://tsu-suke.jp/news/4489

    元の記事で触れているような「顧客にとっての移住に関する意識の段階」を考え抜き、それぞれの段階にある人びとに対してどのようなアプローチをしていくのか、ということは極めて重要な考え方です。

    しかしそれを具体化していくときに留意しなくてはならないことは、移住は極めてハードルが高い行為である、ということです。移住はそう気軽にできるものではありません。それゆえに、②や③の段階にある人に対して自治体レベルの人びとが啓蒙活動を行うことは、必ずしも効率が良いとはいえないでしょう。実際には、①の段階にある人びとに対して、どのように地域の価値を伝達していくのか、ということについて考え抜いていくことが主体となってくると思います。

    ①の部分を、ひとつの塊として見ることなく、どれくらい本気であるか(例えば、情報収集の手段はインターネットなのか、実際に多くの説明会に参加しているのか、など)という段階によって、より細かく細分化した上で、それぞれに対して必要なアプローチを行っていくことも重要になるでしょう。

    マーケティング分野における、「顧客化」の過程に関する蓄積はこういった部分で利用できるものだと思います。

    移住に関して、より詳細に述べたこれらの記事にも、こういったことを考えていく上でのヒントがあるかと思います。
    移住政策を考える人のための「移住・交流情報ガーデン」「全国移住ナビ」入門
    バズ狙いの前にやるべきこと~自治体の移住・観光PR動画で意識したいこと3点~

     

  5. 「動物駅長」は地域活性化につながるか 鯵ケ沢町の事例
  6. https://tsu-suke.jp/news/4501

    動物を駅長にする、という行為だけで人気が出るわけではありませんよ、地域のストーリーの構築、オウンドメディアによるストーリーの発信などなど、手をかけなければ意味がないですよ、というお話でした。

    通助で毎回のように言っていることですが、観光客が多いこと=地域活性化の成功ではありません。そこで消費があるからこそ、地域の活性化と言えるのです。

    日本の地域活性化政策は、地域に人を訪れさせる、という部分が過度に意識されており、それをどのように地域内での消費に結びつけるか、ということについて明確に意識されている例はあまり多くありません。人数×客単価×域内調達率の積を最大化するためには何をしていく必要があるのか、ということについて本気で考え抜いていく必要があります。

    地域において生産された価値の消費金額、ということをベースとして地域活性化を考えていくことは、持続的に事業を行っていくことを考える上でも、極めて重要なことだと思います。これについては別の記事で詳しく説明しています→3つのポイントで解体! 経産省「地域ストーリー作り研究会」報告書

以上、3点のニュースをより詳細にマーケティングの視点から分析してみました。通助では、地域活性化を「顧客にとっての地域の価値を長期的に向上させることによって、地域へのお金の流入を増加させること」、と定義した上で、そのために重要となるようなコンテンツの提供を、5月以降も続けていきたいと思います。

本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜