「超不親切ガイドブック」発行 地域活性化の観点から考えると 函館市の事例

北海道の出版社が、函館のガイドブックを発行しました。そのガイドブックは、店名や地図が載っていません。出版の方針として、「観光情報誌に拘泥されないまち歩きを楽しんでほしい」という意図があるようです。

「超不親切」函館ガイド発行 店名や地図載せず(北海道新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160425-00010003-doshin-hok

これは出版社の出版物ですが、自治体等が「不親切」なガイドブックを作ってみる、ということを考えたときに、地域活性化につながるのかということを考えてみます。

自治体によるガイドブック作成の目的は、紹介地域における消費を増やすことです。それを考えると、掲載店舗の地図も店名も掲載されていないというのは、掲載されている店舗に訪れる人が激減することが予想されます。

そのかわり、何点かのメリットもあります。まず、たどり着けた人の客単価が一般的なガイドブックよりも高くなる可能性があることは想像に難くないでしょう。また、目的地を明確に示されないことで、じっくりとまちあるきを楽しんでもらう、回遊してもらう、というような効果があると思われます。そして、ガイドブックを見て、美味しいところをピンポイントに巡っていく、という観光の形式ではない形の観光をしたいと思っている人に対して、大きく訴求する可能性がある、ということです。

この形が成功事例であり、一律でこの事例に倣うべき、と言いたいわけではありませんが、こういったのんびりとしたまち歩きを楽しみたい層が少数存在している、ということ、そして彼らの消費意欲は高いということを踏まえて、こういった層に対する訴求を行っていくのもひとつの方向性かもしれません。このガイドブックは一般的な観光客を無視して、尖ったターゲット設定を行えているように思います。このように、誰がターゲットなのか、という問題は、最もしっかり考えていかなければならないことです。

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「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。