「動物駅長」は地域活性化につながるか 鯵ケ沢町の事例

JR五能線鯵ケ沢駅の観光駅長である「わさお」がユニークな可愛さで人気を集めており、国内外からわさおに会うために年間15万人が訪れています。動物を駅長にするような試みは全国的に行われています。

わさお「駅長」就任 お嫁さんは副駅長(河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201604/20160418_25012.html

路線利用者が減っていく中で、動物の駅長などによる地域活性化を目論む取り組みは、「たま」に人気が集まって以来、多くの場所において行われるようになっています。これらのことは、「成功事例の安易なコピー」であり、真に地域活性化につながるものではないのでしょうか?

「わさお」を事例にして考えてみますと、わさおは割と手の込んだPRが行われているように思います。まず、わさおブログの存在が挙げられるでしょう。一週間に一回程度の更新がしっかりなされており、ユニークな世界観の発信が行われています。もし、「動物駅長」を真似るのであれば、形だけではなくインバウンドマーケティングの観点を生かした、積極的なwebメディアでの発信が肝要になるように思います。その意味で、読者に対してどのように感じて欲しいのか、「そのための手段としての動物」という部分を考え抜いていく必要があるでしょう。動物を使うという「手段」は、人間の駅長よりも「癒し」、「パワー」といった部分において優れているように思います。

そしてこのブログで繰り返し述べている、「地域に収入があるようにする」という部分を意識することが重要です。鉄道の乗車者が増える(そして途中下車しない)、ということや、地域外の大手出版社から写真集が出版されるようでは、地域社会に与える経済的なインパクトは必ずしも大きいとは言えません。動物駅長のストーリーを周辺の施設にまで展開していくことが求められるように思います。

本稿で述べてきたような、「地域のストーリー作り」に関しては、こちらの記事で詳細に解説しています。
地域ブランドにはストーリーが必要だといわれるが、そもそもストーリーってなんだろう?

「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。