乾杯条例とは?経済効果は大きいのか? 【地域活性化用語集】


乾杯条例
その自治体の名産品となっている飲み物(日本酒、焼酎、梅酒、ワイン、牛乳など)による乾杯を推奨する条例群の通称。
手っ取り早く地場の名産品の消費量を増やすことができる手法として、全国的に広がった。


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解説

例えば、神戸市が定めた、「神戸灘の酒による乾杯を推進する条例」の全文は以下のとおりです。

………

(目的)
第1条 この条例は,灘の酒による乾杯を推進することにより,日本文化に対する理解を深めるとともに,郷土への誇りの醸成に資することを目的とする。
 (市及び事業者の役割)
第2条 市及び事業者は,灘の酒による乾杯を推進するよう努めるものとする。
 (市民の理解)
第3条 市及び事業者は,灘の酒による乾杯を推進するに当たっては,市民の自発的な意思を尊重し,その理解と協力を得て行うものとする。
 (他の神戸の酒への配慮)
第4条 市及び事業者は,神戸市においてはワイン,ビールその他の灘の酒以外の酒(以下「他の神戸の酒」という。)の生産も行われていることから,灘の酒による乾杯を推進するに当たっては,他の神戸の酒について配慮するよう努めるものとする。

………

一見して理解出来るとおり、市民に対する強制力は全くなく(強制力があっても大きな問題ですが)、実質は市などが行う懇親会や飲み会の一杯目が名産品になっただけ、というケースが散見されます。

乾杯条例の問題点は、名産品の価値を上げる努力とは全くベクトルが違うところから収入を増加させている、というところにあると思います。あくまでも「とりあえず、消費量を増やしとく」というような気休め的行為に他なりません。

根本的に名産品の価値を向上させたいのであれば、地域ブランド化の推進や、大都市における販売チャネルの形成、ターゲットの明確化など、マーケティング的手法を用いた施策を行う必要があります。

そういった根本的な部分を無視して、このような条例の制定が「地域活性化の成功」である、と考えられることは、良い影響を与えないでしょう。

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