成功しそうな地域ブランド名を考えるよりも大切なこと 「大薬王樹」の事例

香川県三豊市仁尾町産のビワやその加工品の新たなブランド名として「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」が命名されました。全国3位の出荷量を誇る地域ブランドとしてPRできるのでしょうか。

出荷量全国3位 ブランド化 「大薬王樹」と命名 /香川(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160604/ddl/k37/040/423000c

ビワが「大薬王樹」と呼ばれた所以は、「大薬王樹、枝葉根茎ともに大薬あり、病者は香を嗅ぎ手に触れ、舌に嘗めて悉く諸苦を治す」という『大般涅槃経』の記録にあります。これは、「ビワの木には枝や葉、根茎すべてに大きな薬効があり、手で触れたり、香りを嗅いだり、舌でなめることで全ての病気の苦しみから解放される」という意味があると言われています。

この「大薬王樹」という字面だけ見ると、「体に良さそう」「健康食品」という印象を受けます。健康に関心のある消費者が反応しそうなネーミングです。

しかし、これらのブランド名を付与する行為は、そのブランドだけが持つ資産を形にする行為の1つに過ぎません。よく地域の資源に印象的なブランド名を付与し、市場で目立たせることが大切だと思われている方が多いのですが、それは違います。地域ブランドを作っていく過程で重要なのは、そのブランドの持つ価値を関係者で話し合いながら決めること、そしてその価値をどのように打ち出していくのかを決め、実行していくことです。これらの行為は、ネーミングの前後で行われる行為なんですよね。

今回も仁尾町産のビワが「大薬王樹」と名付けられましたが、関係者の方々は、仁尾町産ビワというブランドの持つ価値がどういうものなのかを意識したPR活動を行っていく必要があります。成功しそうな地域ブランド名を考えても、その名前が一人歩きしてしまうようでは意味がないですからね。

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