ブランディングの視点から見る「お前をKILLツアー」 地域活性化の成功事例といえるか

青森県の大学生が、青森県の「危険(ジャンキー?)な魅力」をアピールするために計画した「青森県がお前をKILL」ツアーが実際に行われました。本記事では、参加した週刊誌記者がその魅力を語っています。

不健康でも魅惑的「青森県がお前をKILL」ツアーに行ってみた(女性自身)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160302-00010007-jisin-soci

筆者自身、このツアーの昼から酒を飲んだりといったジャンキーっぷりに極めて惹かれる部分があるのですが、それは置いておいた上で、ブランディングの視点からこのニュースを考えると、それほど望ましいものではないのではないかと思います。

理想的に言うと、地域活性化のために行われるあらゆる手段(例えば、観光パンフレットのデザインから、プランの立案、観光地のの従業員の一挙一動に至るまで)は、「顧客に何を伝えたいか」という部分に基づいている必要性があります。それが自治体のブランドを一元的に管理する、ということで、ブランディングを重要視する企業においては積極的に取り組まれている事のひとつです。

そこから考えてみると、青森県の「短命」的側面を前面に押し出したプランを行う事は、「青森県」ブランドの中で、移住の促進をおこなっている分野や、自然環境の良さを売り物にしている分野との競合が発生してしまう事が十分に考えられます。今回の「KILLツアー」は、大きな宣伝になりましたが、それが逆に移住政策の分野などに悪影響を与えてしまう可能性が十分にある、という事です。

大きな自治体であればあるほど、様々な利害関係者がいるためブランドの路線決定をするのは極めて難しいと言えます。しかし、「顧客に何を伝えたいか」という部分を最重要視し、そこからもろもろの施策に落としていく、という考え方で物事を行うのはとても大切だと思います。

本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。