ご当地グルメ、ねらうは近郊か遠方か

観光客を誘致する場合、遠方からのお客様のほうがありがたい。宿泊費など現地に落としてくれる金額が多いからです。観光庁によると、一人あたりの平均消費額は日帰りで約1万6000円、宿泊旅行で約4万8000円程と3倍にもなります。そうなるとやはり遠方からの宿泊客を狙いたいところですが、実際どの程度可能なのでしょうか。

静岡県富士宮市の富士宮焼きそばはご当地グルメとして有名です。B-1グランプリ第1回、第2回続けて優勝し知名度も抜群。富士宮焼きそばの経済効果は9年で439億円と試算されていて、地域活性の成功例として取り上げられることも多い。そんな大成功と言われる富士宮焼きそばでも経済効果の原動力は日帰り観光客です。観光による経済効果240億円のうち162億円が県外日帰り、71億円が県内日帰り観光客からだそうです。

食だけで遠方から観光客を呼んでくるのは簡単ではありません。まずはいかに近郊から人を集めその人たちにリピートしてもらうかを考え、それに合わせたプランを練ることが大切になります。その際、県内もしくは近隣県との消費の食い合いが起こる可能性を考慮に入れなければなりません。富士宮の場合、首都圏からの日帰りが可能な立地条件を上手く活かしたからこそ成功できたのかもしれません。一方、京都のように宿泊観光客を獲得しているところもあります。観光客のおよそ4分の1が宿泊客だそう。京都のもう一つの特徴はリピート客が多いこと。おいしいものを食べきれいなものを見るだけではない、食や町並みを通して体感できる歴史や文化に人はひきつけられるのではないでしょうか。


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地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

ポイント

  • 食だけで遠方から観光客を呼んでくることは、非常に難しい
  • まずは近隣から人を集め、ファンを増やしていくべき
  • 食だけではなくさまざまな地域資源を活用して、地域そのものの魅力を伝えていく必要がある