井原市は、市出身で首都圏に在住している人びとに対して、井原市の移住・定住関連政策のPRを行っています。これらの政策によって、移住者の増加をはかっていきたい方針のようです。
井原市が首都圏在住出身者にPR 移住・定住施策のパンフ郵送(山陽新聞)
http://www.sanyonews.jp/article/371651/1/
「若者に対して魅力をPR」という文言と並んで、「首都圏に対して魅力をPR」という文言もまた、移住政策の上で多く耳にするものです。どちらの用語も、「若者」「首都圏」という言葉が、全く明確とは言えず、ほとんど意味のない言葉になってしまっていると思います。
東京首都圏だけを考えても住んでいる人びとは非常に多様です。移住してきてほしい対象が、東京近隣県の住民なのか、郊外住宅のファミリーなのか、タワーマンションのクリエイティブ層なのか、ということについて明確になっていません。
今回取り上げたニュースでは、そこから一歩進めて、「現時点で井原市となんらかのつながりがある人」を対象として訴求を行っています。シンプルで効果が分かりやすい取り組みであり、多くの自治体で真似しやすいながらも、無駄になりにくい戦略ではないか、と思いました。
首都圏に住んでいる人に対して、無差別的に広告を発信(例えば電車吊り広告など)したとしても、それを見る多くの人は移住する気がないです。さらに、もし移住に興味があったとしても「なぜ私がその土地を選ばないといけないの?」という部分が意識される必要が有ります。広告を目にする人が多かったとしても、コンバージョン率(目的の動作をしてくれる人の割合)は必ずしも高くならないことは大きな問題です。
マスな広告を打つのであれば、自分たちの自治体は「候補のひとつでしかない」ということを意識して、移住者予備軍に対して、「その土地を選ばないといけない理由」を的確に伝えていく必要があると思います。
移住に関しては、このような記事をこれまでに執筆しました。こちらもご覧ください。
「地域活性」とは競争です。
その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。