高齢者は地方部に移住したいのか 豊島区民へのアンケート調査の事例

姉妹都市である秩父市への高齢者の移住を促す政策を検討している東京都豊島区は、20代から60代までの区民を対象にアンケート調査を行いました。その結果、約4%が「移住してみたい」、約16%が「どちらかといえば移住してみたい」と答えたようです。

豊島区民アンケート 2割が「秩父移住」に前向き(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201601/CK2016012102000175.html

この記事の内容をそのまま受け取ると、「豊島区民は2割も秩父市に移住したいと思っている!」ということになるのですが、気をつけて読まなければならない点がいくつかあります。

まず、「どちらかといえば移住してみたい」という選択肢にそれほど意味がないことです。移住は、消費財を買うといった行為よりも、金銭的・精神的コストが大きい行為であり、そうやすやすとできるわけではありません。そういったハードルの高さを考えれば、「どちらかといえば」と言っている人は、移住を行わないと考える方が妥当でしょう。実際、移住しても良いと考える理由として、「豊島区と行き来がしやすい」ということが挙げられているのは、それほど移住することを検討していないことをあらわしていると考えます。

もう一つ、移住先を姉妹都市に限定するのは難しいのではないかという点です。移住を本気で考えている層は、秩父市以外の移住関連情報の収集も行うはずです。そうする中で、別の自治体に魅力が感じられることも考えられます。そういった流出を考えると、区が住民の移住先を選択するということは難しいのではないかと思います。

通助では移住において選ばれる土地になるために、「大自然アピール」にとどまらない土地のアピールを行って行く必要性を主張しています。こちらもぜひご覧ください。
移住政策を考える人のための「移住・交流情報ガーデン」「全国移住ナビ」入門

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