Uターン助成事業は人口減少を食い止められるか 大子町の事例

教育ローンを借りた上で進学し町を離れた若者に対して、卒業後Uターンした場合には最大100万円を助成する事業が大子町で計画されています。町長は町の人口減少が進む理由を、進学後に地域に戻らないことである、とした上で、そこを改善していきたいと考えているようです。

人口減食い止めろ 大子町が県立高に給食+Uターンに助成(産経新聞)
http://www.sankei.com/region/news/160317/rgn1603170006-n1.html

町の人口減少が進む理由として、進学後に地域に戻る人びとが少ないことを取り上げているのは、正しい問題認識ではないかと思います。その上で、それを解決する手段として「助成金」という手段を用いていることに関しては、必ずしも正しい解決方法の提示とは言えないのではないかと思います。

一番検討しなくてはならないのは、進学を機に町を離れた若者が、「助成金」がもらえるということを理由にして町に帰ってくる、という考え方を行うのかどうか、ということです。あくまで私の意見ですが、100万円というインセンティブに「地域に帰る」ということを後押しするだけの誘引力は無いようにも思います。現実的には、東京で働く方が金銭的には有利な側面も存在するのですから。

「機能性」や「合理性」、そして「経済的優位性」といった分野で東京と戦うことは、かなり無謀であるように思います。どのように「非合理的」な「地元は楽しかった」というような感覚を醸成するか、そして、しっかりと仕事を提示できるか、という部分の方が重要であると考えます。

Uターン・Iターンの促進に関しては、こちらの記事で詳しく触れています。こちらも併せてご覧ください。
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「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。