ひらかたパークに学ぶ、ソフト面の差別化戦略

2012年、100周年を迎えたひらかたパーク。ひらかたパークとは大阪府枚方市にある遊園地で、1912年、前身の香里遊園地にて「第1回菊人形」を開催したことから始まりました。東京の花やしきについで、日本で2番目に古い遊園地となっています。かつて関西にはたくさんの遊園地が存在しましたが、今ではかなりの数が閉園を迎えてしまっています。そんな中でひらかたパークは遊園地来場者数ランキング全国5位と健闘中です。

そもそも遊園地とテーマパークの違いをご存知でしょうか。近年、テーマパーク ≒ 遊園地となりつつありますが、経済産業省の報告書によると特定のテーマのもとに施設全体の環境づくりを行い、空間全体を演出して娯楽を提供する事業所が『テーマパーク』、特に自然の環境を有しかつ各種遊戯施設を配置し、客に娯楽を提供する業務を営む事業所が『遊園地』と呼ばれています。一言でいうと、一貫したテーマーに基づいているかどうかが一つの大きな違いとなっています。ですからディズニーリゾートやUSJのようなテーマパークだと主要キャラや世界観に共感しやすくファンを比較的作りやすいのですが、遊園地には一貫したテーマが必ずしもなく、そしてオリジナルキャラの人気も低いのでファンを獲得しにくい傾向にあります。テーマパークのようなそこでないといけない理由が遊園地にはなく、乗り物が面白ければ他の遊園地でもいい、つまりブランドとしての差別化が非常に困難だという点が課題としてあげられます。

そこで、2009年遊園地であるひらかたパークが取り組んだのが”ひらパー兄さん”というオリジナルな園長のキャラクターの確立でした。それまでバラバラに乗り物が存在したひらかたパークが、ひらパー兄さんというテーマで統一されたことにより、一貫したブランドイメージを植え付けることに成功しました。ブランドとは自社製品を他社製品と区別させることを意図して設計されるものですが、ひらかたパークはまさしく他の遊園地との差別化に成功したのです。

しかし、企業ブランドはすぐに確立できるものではありません。なので、ひらかたパークでは2010年にはブラマヨの吉田敬さんと小杉竜一さんのどちらがひらパー兄さんにふさわしいのかを一般の方に投票してもらうひらパー兄さん総選挙を行ったり、2011年には一般の方も参加し732名が「一斉にシャツの襟を立てた人数世界一」ギネス挑戦をしたりなど、関西の多くの人々を巻き込む参加型イベントを行うことによって地元の人に愛着を持ってもらい、ブランドイメージの向上を図りました。

ハードの陳腐化という課題はどこの企業でもいずれは抱えるものです。その中でリニューアルを行うのだけが解決策ではなく、すでにある施設や商品を利用していかにお客さんを獲得できるかを考えることが地域活性化ではかなり重要になってきます。すでにあるモノに新たな付加価値をつけて一貫したブランドを確立し、ターゲットとなる人たちにより愛着を持ってもらう(リピーターの確保)ための戦略を立てられたことが、ひらかたパークの成功要因だったと言えるでしょう。


本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。

地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

ポイント

  • 持続して成長するには、一貫したブランド戦略が必要不可欠である
  • ブランド戦略において差別化の際にハード面が厳しければ、ソフト面での戦略を立てることが大切である