宍粟市の森林セラピー基地のオープニング式典が行われました。兵庫県内では初めての取り組みです。林業の先行きが難しくなっている中、森を伐採して利益を得るのではなく、観光に利用しようとする動きが高まりが背景にあることを指摘できるでしょう。
宍粟で森林セラピーオープン 地域活性化に期待も(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news/seiban/201606/0009222532.shtml
森林を伐採することで利益を得るシステムが、外国産の木材などの影響により困難に直面している中、「森を使った観光」という潮流は、一見すると森林整備における救世主のように思えます。
しかし私は「森林セラピー基地」として認定されることによって、地域活性化を目指すという方向性がすべての森林に対して「救世主」になり得るか、ということに関しては大きな疑問を覚えています。その理由は以下の3点です。
・全国に沢山ある
現在森林セラピー基地・森林セラピーロードは全国に62箇所あるようです。お隣の鳥取県の智頭町もまた森林セラピー基地に認定されています。森林セラピー基地の間での差別化は必ずしも容易ではないように思います。
・必ずしも価値が明確でない
本ニュースでは宍粟市の基地の魅力について、「針葉樹と広葉樹のバランスがよい」ことが挙げられています。筆者は山歩きなどは好きですが、このことの意味や自身が受けることができる便益について、必ずしも明確に理解することができませんでした。「あなたにとってこのような便益があります」という形でより分かりやすく価値を伝達していく必要があるかと思います。
・「森林セラピー基地」だから行きたい、という行動につながるか?
地域を訪れた人が、「森林セラピー基地だから、行ってみよう」という行動をとる可能性があることは間違いないと思います。しかし、その地域に行く前段階で、「森林セラピー基地があるから、その地域に行くことを決定した」という行動をとる人はそれほどいないのではないかと思います。森林セラピーに対してどのように導線を作っていくのか、考えていく必要があるでしょう。
森林はどの自治体にもあるものだ、ということを意識した上、どのように地域活性化に生かしていくかを考えていく必要があると思います。ブランディングに関する、これらの記事も参考になるかと思います。
「地域活性」とは競争です。
その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。