近年ご当地グルメがブームです。従来、地域活性といえば公共事業や企業誘致などが基本でしたが、少子高齢化や過疎化、地方の財政構造の変化によって大規模な投資による活性化が難しくなってきています。その点、食のブランド化による地域活性は資本が少なくても比較的始めやすい。B-1 グランプリをはじめ、さまざまな食のイベントを通してまちおこしに成功した例も多数あります。
ただ、忘れてはいけないのはご当地グルメとは地域活性の一つの手段であって、ものを売ること自体が目的ではないということです。地域を活性させるためには1)外部から地域にお金が入ってくる、 2)地域内でお金を循環させる この2つの仕組みを作らなければなりません。ご当地グルメの販売が目的になってしまうと、ライセンシングや全国出店によって売り上げを追及することになり、結果地域内での産業や雇用の機会を失ってしまうリスクもあります。やはりご当地グルメは、地域の認知度やイメージを上げ最終的にはその土地に行ってみたいと思わせる観光客誘致の手段として使うべきだといえます。
実際、製品自体が独り歩きし地域活性につながっていないケースをよく見かけます。たとえば通信販売。今やインターネットに繋げば、家にいながら全国各地のご当地グルメがお取り寄せできる時代です。地域に縁もゆかりもない企業がブームに便乗して販売し、購入者は現地に行かなくても充分満足してしまっているのが現状かもしれません。ご当地グルメを自分たちの資産としていかに上手くマネジメントし観光客誘致のために使っていくかは、まちおこしを手掛ける人たちの腕のみせどころだといえそうです。
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本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
ポイント
- ご当地グルメそれ自身を目的化せずに、観光客誘致の手段として考える
- 短期的な資金回収のための全国展開やライセンシングは、必ずしも地域活性に貢献しない