日本人向けの商品だけで良いのでしょうか?~お土産とスーベニア~


先日、カナダに行ってきました。その際にお土産を買おうといろいろな物産店を回ったのですが、家族や友人に買いたいと思うようなお土産がありませんでした。というのも可愛いと思うような商品がなく、そもそもどこのお店も同じような商品ばかりを扱っていたんです(赤と白、国旗、カエデの葉っぱ、大きな文字でCANADA)。こんなのもらっても誰も喜ばないでしょう…。今回は訪日する外国人観光客の消費額を増やすことを考える上で、日本企業が今後どのようにお土産を売り出していくべきかについて考えていきます。

日本と外国のお土産に対する価値観の違い

 そもそもお土産はなんのために買うのでしょうか?定義を調べてみました。

土産:人に贈ったり、家に持ち帰るために、旅先などで求めたその土地の名産品。
(語源由来辞典より)

 つまり日本古来のおすそ分け文化によるもので、その土地に行ってきたと第三者に証明できないいけません。しばしばお土産はスーベニアと訳されますが、そこには大きな違いがあります。

スーベニア:旅行・場所・出来事などのお土産となるような記念品。
(新英和中辞典より)

 このようにあくまでも外国人にとってスーベニアとは自分用の旅の思い出で人に配るという日本のお土産文化のような概念はありません。日本人にとってのお土産は同行しなかった人向けに配ることができるお菓子が多いですが、外国人にとってのスーベニアは本人用の非食品が多いです。「こんなのもらっても誰も喜ばないでしょう…」と日本人の私は思いましたが、カナダを含む外国では異なった価値観があり、そもそも人にあげるという前提がなかったようです。

日本の地方観光地の知名度の低さ

 平成26年の訪日外国人の買い物代は約7138億円で、宿泊料金や飲食費を含めた全体の消費額は前年比平均30%上昇と今後が大変期待できる市場となっています。

 日本の観光地でのお土産を見てみると、○○へ行ってきましたという、観光名所推しの商品がほとんどです。しかし日本を訪れる外国人の方はどれくらい日本の名所を知っているのでしょうか?平成26年観光庁による訪日外国人消費動向調査によると、このような結果になっています(筆者作成)。

 このように日本人が思っているほど日本のことを知りません。5%の人は日本の観光地で知っているところはないと回答しています。なので、食品メインの○○へ行ってきましたという地方の観光地推しのお土産は外国人にとってどこかわからないレベルで、観光地ブランドを知っている日本人旅行者しか想定していないであろうと言えます。

訪日外国人向けの商品とは

 7138億もの市場規模がある以上、訪日外国人観光客に商品を買ってもらう工夫が必要となります。訪日外国人観光客は日本の〝観光地〟ではなく、〝日本〟に行ってきた思い出になるものが欲しいと言えるでしょう。よって自分用の飾りたくなるような一目で日本とわかるような、日本ブランドの商品をもっと作り販売していく必要があります。その際に訪日外国人の日本のイメージや、どのようなものを欲しいのか消費動向をチェックすることが欠かせません。私がカナダで自分の思っているような商品がなくて店を出たように、訪日外国人もまた今の日本の物産店を残念な気持ちで去っている可能性があります。


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地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

ポイント

  • 日本人観光客と訪日外国人観光客のそれぞれのニーズの違いを探り、特に弱い訪日外国人向け商品を考えるべし
  • 訪日外国人向け商品では観光地推しではなく日本推しの商品作りを心がけるべし