【2016年6月】地域活性化×マーケティングの視点で知っておくべき事例3つ

梅雨の季節が続いています。時折の晴れ間を心待ちにする日々を送っている今日この頃ではございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

09dfb76f2097e11981d876dd7cff680f_s今月も「ふりかえり事例紹介地域活性化ニュース」と題しまして、6月中に取り上げてきました地域活性化ニュース(地域活性化ニュースでは平日毎日地域活性化に関する事例を取り上げて配信しています、過去の事例紹介はこちら)を振り返っていきたいと思います。地域活性化とマーケティング・ブランディングの観点から興味深い事例・学ぶべき事例について「3つだけ」に厳選して紹介いたします。

     

  1. UIターンを促進!大学と県が連携 山形県の事例
  2. UIターンを促進!大学と県が連携 山形県の事例

    これらの政策は、大学生の立場から見たとき、「地元に帰りたいけど、やりたい仕事がないんじゃないの?」というように懐疑的に感じられてしまっている、ということを元の記事では指摘しています。地域で奮闘されている方々にとっては非情なコメントなようにも思いますが、これが現状の姿であるということは意識する必要があるかと思います。

    その一方で、「給料」、「効率」というような部分において東京大都市圏と張り合うことは難しい、ということも指摘できるでしょう。
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    そういったことを考えると、大卒者のU・Iターン者を増加させることを考える上で最も大事だと思われることは、「私がやりたい仕事がある!」ということを認識させること、つまり、「その人にとって深く共感できる理念を掲げた求人を提供する」ということだと思います。

    U・Iターン、そして就職という行動は人生の一大決心となりうる、簡単には決断できない行動です。万人に「まあまあいいね〜」と思ってもらうよりも、ごく少数の人たちにとって「最高!絶対に移住したい!」と思ってもらえるような尖ったメッセージの発信を行う方が、最終的には多くの人物を獲得することができると思います。

    これに関してはこちらの記事でさらに詳しく論じました。こちらの記事も是非ご覧ください。

    バズ狙いの前にやるべきこと〜自治体の移住・観光PR動画で意識したいこと3点〜

    移住促進における経済的インセンティブの付加が危険な3つの理由

  3. 「スタバはないが砂場はある」すなば珈琲のブランド差別化
  4. 「スタバはないが砂場はある」すなば珈琲のブランド差別化

    こういった取り組みを行う際には、「地域の収入をより大きくすること」、という目的がより明確に意識される必要があるように思います。

    「すなば珈琲」という名前が付けられることによって、この商品を手に取る人は大幅に増加するでしょう。この取り組みによって、コンビニにおいてたくさんの人がその商品に目が留まる可能性が上がったことで、地域が得られる収入が大きくなる、という目標にかなっている可能性が指摘できます。

    その一方で、高品質な飲み物であるにもかかわらず、「笑いを取るためのコミュニケーショングッズ」として人々に認知されてしまい、「ネタグッズ化」してしまうことによって、商品の美味しさ、新鮮さなどに目が行きにくくなる可能性があることには留意しなくてはならないように思います。

    d1633a6a813fc4fc8f6715dab4be7a57_sより大きな「顧客にとっての価値」を生み出すために、どのような商品コンセプトにしていくことが望ましいのか、それに伴ってどのようなhow(商品の名前から、パッケージデザイン、商品の味、使っている原料など)にすべきなのか。

    すべてのhow部分は、コンセプトを実現し、コミュニケーションを成立させるための手段にすぎない、という視点から、地域活性化を考えていく時に、このニュースは恰好の思考材料だと思っています。

    このような考え方は非常に重要なです。こちらのレポートでより深く触れていますので、こちらも併せてご覧ください。

    地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

     

  5. 「よそ者・ばか者・切れ者+若者」が地域活性のカギを握る!?
  6. 「よそ者・ばか者・切れ者+若者」が地域活性のカギを握る!?

    若者に地域活性化を考えてもらう、ということは全国的に行われていますが、どの場所でももれなく大きな効果があるとは全く思いません。若者を活用することが、奇抜なアイデア出しに終始してしまったり、単位のために嫌々参加してしまう、といったことにつながってしまっているとすれば、必ずしも優れているとはいえないと思います。

    7c541adf42e06c8e54384077ad0eedda_sその一方で、本気でその土地のことを本気で考えて協力してくれるのであれば、頼もしい戦力になってくれる可能性があります。その際には、こちらの記事で触れたように、ビジネスの視点を補ってあげる必要があります。

    地域活性化事業における大学生との協働で覚えておきたい3つのコト

    タイトルにもなっている、「よそ者・ばか者・切れ者」という言葉に関してですが、こういった意味で捉える必要があり、言葉通り「ばかな人(!?)が必要である」というように捉えないことが重要だと思います。

    • 地域の規則やしがらみに縛られないけれども、それを尊重できる人材
    • 異なったライフステージにあることや異なった人生をおくってきたことによる視点、あるいは市場の視点を用いて、地域資源の価値を発見することができる人材
    • 成功のために、明るく、自信をもってひたむきに努力していくことができる人材

    こういったコンペはたくさん行われていますが「若いから」・「勢いがあるから」という理由でその事業を採用することは芳しくないように思います。

    その事業を、長期的に取り組んでくれるのか、一時のノリで考えられたものではなくビジネスとして成功しうるのかなど、その事業を通して何が達成されることが目的なのか、ということについてしっかり考えた上で、こういった取り組みが行われる必要があると思います。


7月もまた、地域活性化を考える上で役に立つ情報の発信をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

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