【2016年5月】地域活性化×マーケティングの視点で知っておくべき事例3つ

5月になり、長袖ももう必要ない季節になってきましたね。1ヶ月に1回更新する記事を執筆していると、1ヶ月の短さをダイレクトに感じます。改善、機能の追加…何もできていない気がします。

さて、5月も「ふりかえり事例紹介地域活性化ニュース」と題しまして、5月中に取り上げてきました地域活性化ニュース(地域活性化ニュースでは平日毎日地域活性化に関する事例を取り上げて配信しています、過去の事例紹介はこちら)を振り返っていきたいと思います。地域活性化とマーケティング・ブランディングの観点から興味深い事例・学ぶべき事例を「3つだけ」に厳選して紹介いたします。

     

  1. 「超不親切ガイドブック」発行 地域活性化の観点から考えると 函館市の事例
  2. http://tsu-suke.jp/news/4555

    私は日々、地域活性化に関するニュースを30個くらい目を通していますが、5月に見たニュースの中ではこのニュースと、こちらのニュース(「サラダ狩り」の事例)が面白いな、と思ったものベスト2です。

    本記事でも触れましたが、自治体がこのようなガイドブックを作成するのも面白い取り組みになりうるのではないかと私は思います。

    自治体がこういった冊子を作ってみることを考える上でより深めていくべき部分は、「このような手法を用いると、誰がこういったことに興味を持つのだろう?」、「その人たちの価値をどのようにすれば最大化できるだろうか?」といった、マーケティングの考え方に基づく部分です。以下では、このことについて事例を用いて考えてみたいと思います。

    あくまで推測にすぎませんが、こういったガイドブックを重宝するのは、首都圏などから訪れる一見さん的な観光客ではなく、近隣自治体に住んでいて、地元の魅力を感じてみたい、と思っている「そこに住んでいる住民」のように思います。

    そういった人びとにとってのガイドブックの価値をさらに高くすることを考えてみると、その地域の基本的なことについては既に理解できているということを踏まえ、とにかくディープな地域の話題に触れる、店主の人間性を伝える、といった部分に留意する必要があるように思いました。

    通助と通助を運営している株式会社ホジョセンでは、地域活性化政策においても、ターゲティングが重要なんですよ、ということについて毎回論じていると思いますが、こちらの記事がターゲティングの重要性を示したものとしては比較的分かりやすいかと思います→欲張らない。併せてご覧ください。

  3. 地産地消と地消地産の違いを知っていますか? 長野県の事例
  4. http://tsu-suke.jp/news/4562

    通助では地域活性化を、1.お金を地域の外から稼ぐこと(移出力)、2.お金を地域内で循環させ、地域外への流出を防ぐこと(循環力)という2点から考えています。地消地産という宣言は、まさに後者「お金を地域内で循環させ、地域外への流出を防ぐこと(循環力)」という部分に対して、漠然と取り組むのはやめよう、という宣言であるように思います。

    私が「地消地産」という言葉に共感を覚えている理由は、「シーズではなく、ニーズが先に分析されている」という部分です。作って売る、という発想ではなく売れるから作る、という発想で商品を生産していくことが、今後の一次産業においては求められていくことは間違いないでしょう。そういった部分をうまく意識できるこの言葉は、とても面白い言葉であると思います。

    その一方で地消地産には、地産地消と同様の問題点を抱えている部分もあるのではないかと思います。それは「より高く売るのであれば、地域外(東京圏・ニューヨーク・パリ)で売った方がいいんじゃないの?」という疑問です。地域活性化を考える上では、高い付加価値をつけるということも重要なことのひとつであり、その地域内で消費する、ということに拘泥される必要はないのではないかとも思います(そう考えると、「移出力」という前者の地域活性化を強く意識した取り組みになるわけです)。

    もちろん地産地消といったものは、フードマイレージ・スローフードといった概念による問題提起に影響されたものです。これはあくまで、高い付加価値をつけるためには、という視点からの一解答である、ということを申し添えておきます。循環力の強化について、こちらの記事でも触れていますので、こちらも併せてご覧ください。→「地方から発信!!」だけではいけない!!〜地域活性で見落としがちな大事な視点
     

  5. 「地域の魅力を若者に発信」の意味をより深く考える 十日町市の事例
  6. http://tsu-suke.jp/news/4594

    記事でも言及しましたが、「地域の魅力を若者に発信」という言葉は、申し合わせたかのようにのようによく使われている言葉です。その中では、「若者とは誰か?」、「魅力発信を受けた側にどのような行動を取って欲しいのか?」ということが明確になっている事例はそれほど多くありません。

    若者をターゲットにすることは意味のあることですし、必要なことだとも思いますが、これらの部分をもう少し明確にした上で考えなければ、「若者に魅力を発信」という言葉は全く意味のない言葉になってしまうので注意が必要です。

    この事例の場合も、「何が目的なのか?」ということが必ずしも明確になっているとはいえないのではないかと思いました。

    「住んでいる若い人に愛着を持って欲しい」ということであるとしても、その「愛着」が指す意味が、「地域を離れないで欲しい」のか、「地域に帰ってきて欲しい」のか、「地域の産品を買って欲しい」なのか、必ずしも明確とは言えません。

    また、身も蓋ものない発言かもしれませんが、もし「地域を離れないで欲しい」ということが目的なのであれば、それに対して、「ファッション」という手段を取ることが本当に目的に対する合理性があるのか、ということに関しても検討する余地があるように思います。

    「若者」をライフステージや価値観などからより細かく分析してみる、その人に何を実行させることが目的なのかを考え抜く、周辺の「若者」をターゲットとした施策とどのような違いがあり、どのような差別化を試みる必要があるのかを考える、などなど…こういったことを考えなければ、ほとんど意味のない施策になってしまうように思います。

以上、3点のニュースをより詳細にマーケティングの視点から分析してみました。

その中で感じたことは、世の中では「地域活性化」「地方創生」という言葉が、非常に曖昧な意味合いで利用されているな、ということです。これらの言葉を漠然と利用した上で、漠然としたその目的を達成しようとし続ける限りは、地域活性化(通助では地域活性化を以下のように定義しています→地域活性化は競争だ )につながることはないでしょう。

通助的な地域活性化の理想像を共有しないとしても、まずこの曖昧な言葉がどのような意味を指す言葉なのか、ということに関してそれぞれの個人が考えていく必要があるように思いました。 6月も面白い事例を紹介できることを楽しみにしています。

本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。
地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜