移住促進動画で若い人たちを取り込めるか?愛川町

神奈川県愛川町が、出会った2人が町の名所などでデートを重ね、やがて結ばれて愛川町で家族をつくるという物語の移住促進プロモーション動画を製作しました。愛川町は都心から50キロほどの通勤・通学圏にありながら、鉄道駅がなく、若者は高校卒業後、大学進学などで町を出てしまうことが多い地域です。

若い世帯へ移住促進動画 愛川町(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20160125-OYTNT50305.html

 そもそも移住予備軍には、①非常に移住したいと考えて自ら情報収集を行う人と②潜在的に移住したいという思いを持っている人の2種類がいると考えられます。移住を促す動画を作る際には、この2種類の人をそれぞれターゲットとして動画を作る必要があるでしょう。②の人はそもそも移住向けサイトを見ないので、バズマーケティングを狙うSNS拡散型の面白い動画を作る必要があり、①の人向けには刺さるようなメッセージ性のある動画が効果的だと言えます。今回の愛川町は、動画投稿先が移住ナビな所からもわかる通り、本来①の元々移住を考えている人向けでしょう(話題となり結果的に②の人たちにも見てもらうことに成功していると思いますが)

 ①のような日常的に移住に興味があると感じている人向けの動画でよく見受けられるのが、ただのその地域の紹介動画になっていることです。そもそも移住に興味がある地点で最初の障壁を乗り越えており、その人たちにとって気になっていることはどこで生活するかと、実際に移住を踏み切るかどうかの決め手だと言えます。つまり他の地域ではなく、この町にしかできない暮らしをアピールすることが欠かせないのです。受け手にいかにその町で暮らす良いイメージを持たせられるかどうか、つまり感情移入しやすいストーリー性やメッセージ性のある動画であることが重要となります。ただの面白みのない紹介動画ではその土地の面白さが伝わりにくいのです。

 愛甲郡愛川町の動画は、名前の一部である「愛」をテーマにしていてコンセプトがはっきりしており、ターゲットも若い世代と明確な所が良い所でしょう。ただし若い世代がターゲットであるのに対し、動画のタイトルが1970年の米恋愛映画をモチーフにされているのは気づかれにくく、少し作り手本位であると言えます。

動画は、こちらから視聴できます。

「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。