アニメの観光資源化、継続的な地域活性化を達成できるか 埼玉県「アニ玉祭」の事例

アニメを観光資源として捉え、地域活性化を達成していこうという議論が活発化しています。埼玉県が取り組んでいるプロジェクト「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」の一環として、「第3回アニ玉祭」が開催されています。

アニメは観光資源! アニメの祭典「アニ玉祭」が埼玉県を救う!?(GetNavi)
http://getnavi.jp/8730

通助では、イベントの成功=地域活性化の実現ではありませんという記事に代表されるように、アニメなどのコンテンツを利用した地域活性化政策については、やや否定的な立場を取っています。その理由としては、上記の記事に記載されている通り、1.その地域そのものを好きになる仕掛けではないから、2.土地自体への経済的利益がそれほどないから、3.ターゲット層以外に嫌悪感を与える可能性が、他の取り組みと比べて高いから、などが挙げられます。このニュースを見ると、管見の限りでは春日部市の取り組みなどはこういった「落とし穴」にはまっている可能性が高いように感じます。「クレヨンしんちゃん」を利用して行うべきことは、地域への経済的利益が微々たるものでしかない絵葉書を売って収益を得ることではなく、クレヨンしんちゃん的な家族像に憧れをもたせ、移住を促進すること、あるいはクレヨンしんちゃんの聖地に実際に訪れてもらうことであるはずです。そうでなければ、コストを払ってまで市が行うべきこととは言えません。

その一方で、富山県の「恋旅」、あるいは飯能市の「ヤマノススメ」などの事例においては、その地域そのものに興味を持たせ、アニメをきっかけとしてその土地に訪れて消費してもらう、という動線がある程度明確に意識されているように感じました。これらの継続的な経済的利益を意識したアニメの観光資源化については、一概に否定することはできないように感じます。今後も見守っていきたい事例のひとつです。

「地域活性」とは競争です。

その競争を勝ち抜くために意識すべきことを、マーケティングの視点を入れつつケーススタディにて考察しています。