「地方から発信!!」だけではいけない!!〜地域活性で見落としがちな大事な視点

地域活性関連のニュースの幾らかに関して感じる違和感

近頃の地域活性関連のニュースの幾らかに関して感じる違和感についてお話しいたします。
“地域活性”“地方創生”関連のニュース等においては
キーワードとして「地方から発信」「消費の拡大」「観光」「移住」などがよく上がってきます。確かにこれらはどれも地域の活性化にとって重要な要素であり、取り組んでいくべき項目には違いありません。ただこれらの施施策は“人”ベースでの1つの見方にすぎません。人の動き、人の行動、人の消費…と施策の効果測定の計りを“人”に委ねています。「地域活性」において重要な点として、“人の動き”と同じくらい大事なものとして“お金の動き”があります。今回はその“お金の動き”について書いていきたいと思います。

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まず、地域活性について通助では
①お金を地域の外から稼ぐ(移出力)
②お金を地域内で循環させ地域外への流出を防ぐこと(循環力)
の2側面から定義しています。

地域活性化は競争だ

①移出力

①の移出力についてはコラム「イベントの成功=地域活性化の実現ではありません」「掛け算で考える」にて述べさせていただきました。ただ地域に人を呼ぶだけではなく、その地域での消費を促すという部分が抜けてしまわないよう注意する必要があります。

イベントの成功=地域活性化の実現ではありません

掛け算で考える

②循環力

今回は②の循環力について考えていきましょう。
循環力とはその言葉の通り「お金が地域の中でグルグル回る」ことを指します。
言葉を足すと「地域で生まれたor地域外から稼いだ(観光、商品販売など)お金を用いて、地域のお店で経済活動を行うという構造を域内で繰り返すこと」であり、その結果として「地域内の経済従事者が豊かになっていく」事を目指していくという事でしょう。(ざっくりすぎますかね)

最近流行りのプレミアム商品券などはこれを目指したものであると考えられます。地域通貨とも呼べる商品券を発行することで、(財布から)お金の出る先を地域内に限定しお金が域内で回り経済が活発化することを目指した取り組みといえるでしょう。
ただしこの目的が果たされるのは“地域”をただの“場所”という枠組みで捉えた場合に限られます。例えば消費活動を行う“場所”が域内であっても、スーパーやコンビニなどのチェーン店である場合、給料等諸経費を除いたお金は都会にある本部へと集積されていきます。経済活動が活発になったといっても極端な話SNSゲームへの課金やECでの支出の場合は地域への還元は限りなく少ないでしょう。(配送費用など)

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つまり、ある程度意識しなければ自然と地域から都市の方へお金が移動していく社会が構築されつつあると言うことができるでしょう。(かといって、スーパーやコンビニなどのチェーン店を一切利用せず地元の企業(八百屋や食堂なども含む)のみを利用するというのは現実的に不可能でしょう。)

かと言って、反対に外からたくさん“観光”などで稼いだら良いのか、という移出力の議論のみに終始してしまっては危険です。ここでは“内向き”の視点が重要となってきます。移出力を高める一要因である地域ブランドの構築においても“内向き”の視点は欠くことができないものであります。地域内の人が愛着も持ち「自分たちの地域」「自分たちの地域ブランド」と思えるようにする必要があります。観光客向けのメニューを開発してばかりいたら足元を救われることとなってしまうでしょう。“観光”という経験を求めに来る客に好まれるものを目指すとともに、地元の人にも好まれる商品を開発して消費活動や(地域での)雇用も増やして行く必要性があるでしょう。外からお金を稼ぎ、そして地域内にお金の使い道を作り、地域内でのお金の循環を促進するということは地域活性化において重要な考え方の一つです。

いくら「観光」や「⚪︎⚪︎の発信」で地域の外から稼いだとしても、循環力がなければ笊(ざる)のように掬ったさきから直ぐに溢れて行ってしまいます。移出力ばかりに意識をやるのではなく、先を見据え、循環力・“内向き”視点の働きかけを一層充実させていくことが求められていくでしょう。


本記事で説明してまいりました地域ブランドの育成に関係したものとして、本ブログの運営会社である株式会社ホジョセンでは、地域ブランド・地域ストーリー作りの課題について述べたレポートを発表しております。無料ダウンロードできますので、こちらもどうぞご覧ください。

地域ブランドの育成における課題〜企業におけるブランディングとの比較から〜

ポイント

  • 地域内のお金がどのように使われているのかというお金の流れに意識を払うべし
  • 「地域ブランド」において「外部から」と「内部から」で評価基準が異なる事を意識すべし